:wq!

me    rss

サイクリング・ヒルクライ厶目線の#Starlink Direct所感

ども、takiponeです。衛星コンステレーションサービスのStarlinkは、専用アンテナを購入し同梱のWi-Fiルーター経由で高速インターネットを利用する通信サービスです。一方のStarlink Directは、アンテナなしでスマートフォンと衛星が直接通信するDirect to Cell(Cellがスマートフォンを指す)サービスと呼ばれます。無印のStarlinkは大容量高速インターネット接続が特徴でしたが、Starlink Directは現時点でSMSや緊急通報など少量データを扱うサービスと位置づけられています。

au Starlink Direct | サービス・機能 | au
auスマートフォンがStarlink衛星とつながり、空が見える状況であれば通信を可能にするau Starlink Directのサービスページです。

筆者には自転車で山道を登る趣味があるので、サイクリングやヒルクライム目的でStarlink Directがどう活用できるのかをレビューします。

Starlink Directを利用するには

機材

スマートフォンの要件としては、Starlink Directに対応するサービスのSIMを対応機種にセットします。一般消費者向けにStarlink Directを提供しているのはauとNTTドコモで、既存の4G/5Gプラン契約者のオプションという位置づけです。私はMVNOユーザーなのでそれらの契約を持たないのですが、auには au Starlink Direct専用プラン+ というMVNO利用者向けの専用プランがあり、今回はこちらを利用します。プランの契約時にSIMカードとeSIMが選べるのでeSIMを選択、対応機種 から今回は Samsung Galaxy Z Flip 5 (au版 SCG23) を使用しました。

場所

au Starlink Directでは、セルラーネットワークが圏外の状態で衛星との通信を検出すると自動で接続します。衛星通信を明示的に選択することはできず、4G LTEや5Gが優先されます。動作確認するのが大変なやつですね。

検証環境選び

まずはセルラーネットワークが圏外になる場所を探そう、ということでキャリアのエリアマップを見てみます。

エリアマップ | エリア:スマートフォン | au
auのスマートフォン・携帯電話・WiFiルーターの通信エリア、電波状況の情報をご紹介します。

過去の職務経験からたとえマップ上ではエリア外でも遠方の基地局の電波がそれなりに届くことがあるのを知っていたので、エリアからがっつり離れているところを吟味しつつ過去に訪れたことのある場所から圏外になりそうな場所を思い出してみました。

そうして選んだのが山梨県の 川上牧丘林道(山梨側) です。乙女湖畔から柳平ゲートを抜けると広大な圏外領域(?)が広がります。甲府盆地の基地局から届くであろう電波は、乙女湖手前の鳥居峠で遮られる絶好のロケーションです。

行って試してみた

というわけで現地に行ってみました。

林道なので、天頂付近まで樹木に覆われる衛星通信にはあまり向いていないところを進んでいくことになります。空がひらけたら立ち止まってスマホをチェック、というのを何度か繰り返すと...

衛星アイコンが出てきました!右側隣のアンテナピクトで地上は圏外になっていることがわかりますね。キャリア/回線の表示は SpaceX au | au になりました。(4G/5G接続時は KDDI | au です)

Galaxy(Android 16)の接続設定画面には「衛星ネットワーク」という項目があり、セットしているSIMの対応状況が表示できます。↓のうち、左がpovo2.0、右がau Starlink Directの表示です。

普通のSIMでもテキストメッセージが使えそうな感じがしますね。povo2.0をアクティブにした状態で道中何度かSMSメッセージの送信を試行したのですが、送ることはできずエラーになったため、動作は確認できていません。一方のStarlink Directの場合はテキストメッセージに加えて衛星対応アプリでのデータ通信が可能とあります。今回は対応アプリのリストに載っていたGoogle MapとLINEを試してみました。

どちらも衛星に対応したモードでアプリが動作します。Google Mapはキャッシュされたマップデータで違和感なく利用できました。何度か表示していたマップなので、衛星ネットワーク経由でマップデータをダウンロードしたかどうかはわかりませんでした。また、マップの現在地表示はGPSによるものであり、セルラーネットワークの状態には依存しません。 一方のLINEは、試しにメッセージを送信しようとしたのですが、「送信中」の表示のまましばらく経ってタイムアウトになりました。

結果の考察

Starlink衛星は低軌道衛星のため上空を通過する速度が非常に速く、端末は数多くの衛星とかわるがわる通信する形になります。Starlink Directも通信時に上空を通過する衛星があれば送信できて、衛星がなかったり通信完了前に視界から外れてしまうケースが多くあるのかなと思いました。そもそもたくさんのアンテナ素子によって全力で衛星をサーチするStarlinkの専用アンテナと比べて、スマートフォンのアンテナでは性能に大きな差があるとも思うので、仕組みとして常時通信できる様子を現時点では期待しない方がいいのかもしれません。アプリによるインターネット経由でリアルタイムの双方向通信というよりは、SOSなど少量のデータを一発入魂でスマートフォンからアプリのサーバーに送信する一方向通信、そんな用途をイメージしました。そうすると衛星をなるべく高確率で捕捉するためには、スマートフォンをバッグにしまって走行するのは不利になるのではと思いました。StarlinkとStarlink Directでは通信する周波数や電波特性が異なるので一概には言えないと思うのですが、スマートフォンをある程度露出するメッシュポケットにしまう工夫をすると送信成功の確率が上がるのかもしれないですね。

ヒルクライムにおけるStralink Directの位置づけ

ちなみに先ほどの衛星モードを利用した後、大弛峠に近づき視界が開けた高度2,000m辺りのところで4Gエリアに入り、衛星モードは利用できなくなりました。最近はStarlinkをバックホール回線にした4GエリアやStarlinkによる山小屋でのWi-Fiサービスが増えてきており、下山までエリア外になる箇所が減っている傾向もあります。林道サイクリング、ヒルクライム目線でStarlink Directのお世話になるケースは、走行途中で機材トラブルや落車によって山間部の圏外エリアで身動きが取れなくなったときの保険の通信手段、通話や双方向のデータ通信よりはメッセージなど単発の通信で外部に助けを呼ぶ、所在を伝える手段として期待すると良いのかなと思いました。私はau Starlink Direct専用プラン+の月額1,650円にその価値があると感じていて、eSIMでpovo2.0の副回線として邪魔にもならないことからしばらく続けてみようかなと思っています。