DigitalOcean入門3 Dropletのハードウェアとネットワーク構成
ども、takiponeです。DigitalOcean入門の3回目では、Dropletで利用できるハードウェアとネットワーク構成について見ていきます。
おさらい
Dropletのハードウエア構成は、サイズごとにCPU/メモリ/ディスクサイズが定められています。ディスクは現時点では1台につき1本のみ、ネットワークはデフォルトでグローバルIPアドレスを割り当てるNICと、オプションでプライベートIPアドレスを割り当てるNICがあります。
ハードウエアとネットワーク
DropletはKVMベースの仮想マシンなので、VirtIOが有効の場合ディスクのデバイスファイル名は/dev/vda
、ネットワークインターフェースは物理マシンと同様eth0
(Ubuntu 2013.10の場合)です。
cpuinfo
やlspci
、hdparm -t
の結果を貼っておきます。ごく一般的なKVMゲストですね。
root@web1:~# cat /proc/cpuinfo
processor : 0
vendor_id : GenuineIntel
cpu family : 6
model : 2
model name : QEMU Virtual CPU version 1.0
stepping : 3
microcode : 0x1
cpu MHz : 1999.998
cache size : 4096 KB
fpu : yes
fpu_exception : yes
cpuid level : 4
wp : yes
flags : fpu de pse tsc msr pae mce cx8 apic sep mtrr pge mca cmov pse36 clflush mmx fxsr sse sse2 syscall nx lm rep_good nopl pni vmx cx16 popcnt hypervisor lahf_lm
bogomips : 3999.99
clflush size : 64
cache_alignment : 64
address sizes : 40 bits physical, 48 bits virtual
power management:
root@web1:~# lspci
00:00.0 Host bridge: Intel Corporation 440FX - 82441FX PMC [Natoma] (rev 02)
00:01.0 ISA bridge: Intel Corporation 82371SB PIIX3 ISA [Natoma/Triton II]
00:01.1 IDE interface: Intel Corporation 82371SB PIIX3 IDE [Natoma/Triton II]
00:01.3 Bridge: Intel Corporation 82371AB/EB/MB PIIX4 ACPI (rev 03)
00:02.0 VGA compatible controller: VMware SVGA II Adapter
00:03.0 Ethernet controller: Red Hat, Inc Virtio network device
00:05.0 SCSI storage controller: Red Hat, Inc Virtio block device
root@web1:~# hdparm -t /dev/vda
/dev/vda:
Timing buffered disk reads: 880 MB in 3.00 seconds = 292.85 MB/sec
root@web1:~#
ネットワーク設定は、Droplet作成時にグローバルIPアドレスが割当られ、静的アドレスとして OSに設定されます。静的アドレスでの設定なので、PowerOff/RebootしてもDropletを破棄するまではIPアドレスが変わることはありません。
/etc/network/interfacesの例
# This file describes the network interfaces available on your system
# and how to activate them. For more information, see interfaces(5).
# The loopback network interface
auto lo
iface lo inet loopback
# The primary network interface
auto eth0
iface eth0 inet static
address 162.243.XXX.XXX
netmask 255.255.255.0
gateway 162.243.XXX.1
dns-nameservers 8.8.4.4 8.8.8.8 209.244.0.3
静的設定は、AWS EC2とは異なるところ(EC2は一部を除き、DHCPで設定)ですね。スナップショットから新しいDropletをデプロイするときにどのように構成ファイルに手が入るのか気になるところです。ethtool
周りなど、手動で追加した設定が消えたりしないかがちょっと心配です。
DNSサーバーは、外部サーバーにお任せのようです(8.8.4.4
/8.8.8.8
はご存知Googleの公開サーバー、209.244.0.3
はLevel3のDNSサーバー)。
ルーティングは、AWSのメタデータサーバー(169.254.169.254
でHTTPアクセスできる特殊な設定)はありません。参考にroute
コマンドの結果を貼っておきます。
root@web1:~# route -n
Kernel IP routing table
Destination Gateway Genmask Flags Metric Ref Use Iface
0.0.0.0 162.243.XXX.1 0.0.0.0 UG 0 0 0 eth0
162.243.XXX.0 0.0.0.0 255.255.255.0 U 0 0 0 eth0
root@web1:~#
グローバルIPアドレスが静的NATなしで直にゲストOSから見えるのは分かりやすくていいのですが、AWSのEIPのように、Droplet間での付け外しはできないようです。
そのため、他のホストからの接続先としては、IPアドレスを直接使わずに別途Dropletに手持ちのドメインを割り当てるDNSサービスとの組み合わせが現実的かもしれません。ファイヤーウォールなど、IPベースでしか指定できない機能の運用はそれなりに手間がかかりそうです。DNSサービスも折りをみて触ってみたいと思います。
現時点では2つ目のIPアドレスを付与する機能はないので、バーチャルホストなど一部のサーバー構成を組むときには注意する必要があります。
"共有型"プライベートネットワークの追加
既定の設定では、DropletにつきNIC 1つおよびグローバルIPアドレス1つが付与されますが、オプションでプライベートIPアドレス1つを割り当てるNICを追加することが可能です。
見出しに"共有型"と示した通り、このIPアドレスは同一リージョンの他のDropletと同一のネットワークセグメントで提供されるため、インターネットからは隔離されたという意味で"プライベート"と考えてください。 仮想化/クラウドのマルチテナント環境で言う一般的な"プライベート"で連想されるシングルテナントの独立したネットワークにはなっていません。
また、プライベートネットワークの追加は、New York 2リージョンとAmsterdam 2リージョンでのみ設定できます。
プライベートネットワークの追加は、以下の2通りがあります。
- Droplet作成時のウィザードで有効にする
- DropletがPowerOffのときに[Settings]タブで有効にする
どちらの場合でも、Dropletからはeth1
として認識されますが、Droplet作成後の追加の場合OSの設定ファイルを自分で作成する必要があります(Ubuntu/Debianであれば/etc/network/interfaces
、CentOS/Fedoraであれば/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-eth1
)。
Dropletの作成後に追加する画面は、以下になります。
プライベートネットワークのセグメントは、New York 2リージョンでは10.128.0.0/16
のアドレス空間から払い出されました。他のリージョンでは試していませんが、同一リージョン内Droplet同士でゲートウェイなしのL2の通信を行う形態です。
root@web1:~# ifconfig
eth0 Link encap:Ethernet HWaddr 04:01:0e:71:3b:01
inet addr:162.243.XXX.XXX Bcast:162.243.XXX.255 Mask:255.255.255.0
inet6 addr: fe80::601:eff:1111:1111/64 Scope:Link
UP BROADCAST RUNNING MULTICAST MTU:1500 Metric:1
RX packets:352 errors:0 dropped:0 overruns:0 frame:0
TX packets:194 errors:0 dropped:0 overruns:0 carrier:0
collisions:0 txqueuelen:1000
RX bytes:32863 (32.8 KB) TX bytes:23988 (23.9 KB)
eth1 Link encap:Ethernet HWaddr 04:01:0e:71:3b:02
inet addr:10.128.YY.YY Bcast:10.128.255.255 Mask:255.255.0.0
inet6 addr: fe80::601:eff:1111:1111/64 Scope:Link
UP BROADCAST RUNNING MULTICAST MTU:1500 Metric:1
RX packets:6 errors:0 dropped:0 overruns:0 frame:0
TX packets:7 errors:0 dropped:0 overruns:0 carrier:0
collisions:0 txqueuelen:1000
RX bytes:468 (468.0 B) TX bytes:578 (578.0 B)
lo Link encap:Local Loopback
inet addr:127.0.0.1 Mask:255.0.0.0
inet6 addr: ::1/128 Scope:Host
UP LOOPBACK RUNNING MTU:65536 Metric:1
RX packets:0 errors:0 dropped:0 overruns:0 frame:0
TX packets:0 errors:0 dropped:0 overruns:0 carrier:0
collisions:0 txqueuelen:0
RX bytes:0 (0.0 B) TX bytes:0 (0.0 B)
root@web1:~# traceroute 10.128.ZZZ.ZZZ
traceroute to 10.128.ZZZ.ZZZ (10.128.ZZZ.ZZZ), 30 hops max, 60 byte packets
1 10.128.ZZZ.ZZZ (10.128.ZZZ.ZZZ) 1.069 ms 0.995 ms 0.981 ms
root@web1:~# ping 10.128.ZZZ.ZZZ
PING 10.128.ZZZ.ZZZ (10.128.ZZZ.ZZZ) 56(84) bytes of data.
64 bytes from 10.128.ZZZ.ZZZ: icmp_seq=1 ttl=64 time=0.427 ms
64 bytes from 10.128.ZZZ.ZZZ: icmp_seq=2 ttl=64 time=0.499 ms
64 bytes from 10.128.ZZZ.ZZZ: icmp_seq=3 ttl=64 time=0.498 ms
64 bytes from 10.128.ZZZ.ZZZ: icmp_seq=3 ttl=64 time=0.498 ms
^C
--- 10.128.ZZZ.ZZZ ping statistics ---
3 packets transmitted, 3 received, 0% packet loss, time 1998ms
rtt min/avg/max/mdev = 0.427/0.474/0.499/0.042 ms
root@web1:~#
Dropletの破棄(Destroy)
Dropletの破棄は、管理メニューの[Destroy]から行います。注意が必要なのは、[Scrub Data]オプションの有無です。有効にすると、Dropletが使っていたディスクがゼロ埋めされます。本番用途や機密性が求められる場合は有効にし、破棄するようにしましょう。
こちらの既定値については、昨年末にちょっと揉めたようです。
Transparency Regarding Data Security | DigitalOcean
また、ユニークな特性として、一度破棄したDropletのデータは破棄後48時間の期限付きでサルベージすることができます。Dropletの作成時のイメージ選択で[Destroyed Images]から選択できます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。AWS EC2と比べると、バリエーションが少ないですが、個人的には必要最小限のシンプルな構成という印象を受けました。
次回は、Dropletの運用としてバックアップ周りについて解説します!
おまけ
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— DigitalOcean (@digitalocean) 2014, 1月 6